「ミーハー」を極めることで、自分軸を手に入れる/ニューウェルブランズ?ジャパン合同会社コールマン事業部?卒業生 渡邉孝宜 インタビュー 2024.04.08 #企画構想#卒業生 アメリカの老舗アウトドアブランド「コールマン」のプロモーション全般を手がける、ニューウェルブランズ?ジャパン合同会社の渡邉孝宜(わたなべ?たかのり)さん。持ち前の好奇心と企画構想学科での学びを最大限に生かしながら、アウトドアの魅力をさまざまな視点から伝えています。東京都昭島市のフラッグシップストアを訪ね、お仕事のやりがいや楽しさ、印象に残っている大学時代の出来事などをお聞きしました。 ? ? ? ユーザー目線から生まれる、ブランドの親近感と説得力 ――はじめに、現在のお仕事について教えてください アウトドアブランド「Coleman(コールマン)」事業部のマーケティング本部で、コールマンブランドのプロモーション全般とアクティベーション施策を担当しています。販売企画からWebサイトやYouTubeコンテンツの制作、リアルイベントの開催、店舗のPOP作成に至るまで幅広い業務に携わってきました。やりながら覚えるみたいな感じで、初めのうちは慣れないことも多かったですけど、先輩方がいろいろとサポートしてくださるのでありがたかったですね。 お話をお聞きした渡邉孝宜さん。 今年で5年目になるのですが、入社時から変わらずマーケティング本部のアクティベーショングループ所属で、最近ではバックパック製品のターゲティングと連動した企画やソロキャンパーやソログルキャンパー※への提案などを行いました。 ※ソロキャンプを楽しむ人同士がグループで楽しむ「ソログルキャンプ」。それぞれの価値観や楽しみを尊重する新しいスタイル。(参考:コールマンWebサイト:はじめてのソロキャンプのススメ) ――具体的には、どのような企画を手がけられたのでしょうか 例えば「マイチームロゴコンテスト」というキャンペーンを企画したのですが、これはキャンプ仲間同士でオリジナルのチームロゴをジェネレーターで作成し、SNSでキャンプを楽しんでいる様子を投稿してもらうとオリジナルグッズが当たるというものです。 渡邉さんの企画した「マイチームロゴコンテスト」。コンテストへの応募期間は終了しているものの、チームロゴは現在も制作可能。一緒にキャンプする仲間との絆が、より一層深まりそう。(画像引用:コールマンWebサイト) キャンプ用品って、いろんなアウトドアブランドがあるじゃないですか。そんな中で、ユーザーさんに楽しんでいただきながら当社製品の認知を広めたいという狙いがあったんです。実際には投稿までのハードルが高いんですけど、上質なUGC※を作ることができたので良かったと思っています。私たちの最終的なゴールは「生涯キャンパー」を増やすことなので、そのためにどうやったらブランドを好きになってもらえるか?ということを考える役割でもあるんです。 ※User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)の略称。 ――コールマンに入社された理由を聞かせてください 前職が、都市部を中心としたリアルイベントの企画運営やプロモーション業務を行う広告代理店で、神奈川の鎌倉に本社があったんです。そのとき住んでいた場所が自然を近くに感じられて、すごく自分の性に合っていると思ったんですね。もともと自然に触れることは好きでしたし、生まれ育った場所も関係しているのかもしれません。そこで、次はもうちょっと自然と関われるような仕事がしたいということで、アウトドア業界を選んだんです。転職先を探す中では、前の会社がベンチャーだったので、今度は企業規模も違うところでチャレンジしてみたいと思い、当社を志望しました。 ――プライベートでもキャンプはされるんですか? もちろんです。季節でいうと、個人的には冬がいいですね。寒い時期だと虫がいないので。虫が嫌いなんです(笑)。それに冬は、なんといっても焚き火の良さとありがたみを感じられます。焚き火がしたくてキャンプに行っているといっても良いぐらい。雪中キャンプも好きなんですよ。寝袋に入るまでは寒すぎて地獄なんですけど、そういう場所でも快適に寝るっていうのが一番楽しい。体はあったかい寝袋の中なんだけど、顔だけが外の冷たい空気にふれてシャキッとしてるみたいな。あの感じがたまらなく好きなんです。生涯キャンパーを増やしていくという意味でも、まだまだ知られていない冬のキャンプの魅力はこれからもっと伝えていきたいですね。 満天の星空。キャンプは暗いことで得られる楽しさ、豊かさがあることに気付かせてくれる。(写真:渡邉さんご提供) ――仕事のやりがいやおもしろさ、今後やってみたいことはありますか? まずマーケティングの視点でいうと、わかりやすく数字に表れることですね。狙い通りに結果が出たときはやりがいを感じます。もうひとつは、リアルイベントや口コミなどでお客様からコールマンの製品に対してのコメントをもらえたときです。これはやっぱりうれしいじゃないですか。 コールマンが出展するアウトドアフェスで、参加するキャンパーのサポートにあたる渡邉さん。(写真:渡邉さんご提供) そのほかでいうと、毎年8月に北海道で開催している「RISING SUN ROCK FESTIVAL」というキャンプ泊のフェスイベントがありまして、そこで当社がキャンパーのサポート業務を行うんですね。入社1年目のときは、修理どころかランタンの着火も上手くできなかったんですが、今だったら大抵のキャンプギアは修理できて現場での応急処置も分かるようになってきて、自分でも成長を実感できているところです。 今後の個人的な目標としては、高校時代から抱いていた夢なんですけど、商品開発に携わってみたいなと思っています。直近の業務としてはWeb全般を任せてもらえることになりそうなので、まずはそこをがんばりたいです。 ――そのほか興味があることがあれば、何でも教えてください 興味のあることでいうと、正直あと5回くらい人生欲しいなって思うぐらい、やりたいことがたくさんあります(笑)。私の生まれ育った場所が田舎なので、ときどきジビエが手に入ることがあるんですよ。全然凝った料理ではないんですけど、自分が好きな食べ方で楽しんでますね。大学では狩猟の講習会みたいなものもあって、実は一時期、ジビエ料理店をやりたいと思っていたこともあるんです。今の仕事がアウトドアなので、いずれはジビエと絡めた何かもやりたいなとは思ったりしています。 それから、自分の中ではサウナもまだまだアツいですね。都内のいろんなサウナによく行くんですけど、ビルの屋上でととのう外気浴は都市型ならではの非日常を感じられて好きです。最近、水風呂の中を潜って泳いでサウナに直行できるプライベートサウナを見つけて、そこも早く行ってみたいんですよね。 福島県猪苗代町にあるバレルサウナを、実の弟さんと訪れた際の一枚。サ室を出た後の水風呂は、広大な猪苗代湖! (写真:渡邉さんご提供) 自身のコンプレックスを強みに変えた、恩師の言葉 ――芸工大を選んだ理由を教えてください 高校生のときに、漠然とですが商品開発をしてみたいと思っていたんです。それで先生から「こんなところがあるぞ」っていうことで、東北芸術工科大学の企画構想学科を教えてもらいました。オープンキャンパスは他にもいくつか行ったのですが、学びの内容が抽象的でいまいちピンときませんでした。その中で、当時の芸工大の企画構想学科は教授陣の顔ぶれもすごいし、第一線で活躍されている方々の下で学べるということで、明らかに説得力が違いました。入学したらこんなことを学んで身に付けることができるっていうのもシンプルで分かりやすかったですし、迷うことなく決めることができました。 ――企画構想学科での学びは、どのように生かされていますか? 今の仕事はもちろん、これまでやってきたほとんどの仕事のベースになっていると思います。入学して最初のころに学んだ「アイデア発想法」は毎日のように生かされていますし、プレゼン資料の作り方なども、実際の授業で基本的なスライドの作り方からポイントの考え方まで教えていただいたので、すごく役に立っています。それからイベントの企画運営。企画立案から実施までのプロセスはもちろん、関係者とのコミュニケーションの仕方も教えてもらっていたのでかなり実践的でした。ゲスト講師の方々による講義や模擬授業などもあって、今思い返してみただけでも本当にたくさんのことを学べていたんだなと改めて実感します。 学生時代の渡邉さん。2014年に開催した音楽イベント「月山青春音楽祭」でのひとコマ。 ――大学時代に印象に残っているエピソードは? 在学中、企画構想学科にいらした関橋英作(せきはし?えいさく)先生※にかけてもらった言葉が今でも記憶に残っています。芸工大の人って、なにかに特化した才能みたいなものを持っていたり、自分の得意分野がちゃんと分かっていたり、物事を追求している人が多いじゃないですか。それに対して自分は、興味があるものにはすぐ飛び付くけれど熱しやすく冷めやすいというか、何事も続かないタイプだったんですよ。いわゆるミーハーですよね。それをずっとコンプレックスに感じていて。 あるとき関橋先生に相談したら、思いがけない言葉が返ってきたんです。「それは逆に、あなたの強みだよ。いろんなことに飛び付くっていうのは選択肢が生まれるっていうことなんだから、自分の強みにしたらいいじゃん」って。そこからは自己肯定感も上がり、ミーハーな部分を強みとして捉えられるようになりました。仕事でも、自分以上にそれを得意とする人がいれば、その人にお願いすることでさらに良いものを生み出せればいいと考えられるようになりました。あのときの言葉があったからこそ、自分らしく仕事ができていますね。 ※クリエイティブ戦略家。2014年度まで本学企画構想学科教授。 ――それでは最後に、受験生へのメッセージをお願いします 一言でまとめるとしたら、「退屈しないから入ったほうがいいかも」ですかね(笑)。今、熱中できるものがないとか、なにか悶々と抱えているような人がいたら、とりあえず芸工大に入ってみれば良いんじゃないのかなと。企画構想学科の人たちがいろんなコンテンツを用意して待っているし、入ってくる学生たちもみんな個性豊かな人たちだから、嫌でもおもしろいことがきっと見つかりますよ。 同級生の友人に、在学中にハンターの免許を取っている人がいたけど、そんな人とはなかなか出会えませんし(笑)。とにかく飽きない環境だとは思います。4年間を通して出会った人たちとのつながりは、社会人になってからも必ず自分にとって大きな力や支えになってくれるはずです。 ? ? ? 視点を変えることで見える景色が変わり、肯定し受け入れることで広がる世界がある、そのことを大学時代の恩師から教えてもらったと話す渡邉さん。今は自分自身にしっかりと向き合って、モノと人、人と人とをつなぐ役割を担っています。幅広い事柄への興味や、誰とでもすぐに打ち解けられる彼の魅力が存分に生かされているように感じました。仕事以外にもさまざまなことに興味があると笑って話す姿が印象的で、ミーハーは一つの才能なのだと感じずにいられませんでした。 (撮影:永峰拓也、取材:井上春香、入試課?須貝) ニューウェルブランズ?ジャパン合同会社 コールマン事業部 企画構想学科の詳細へ SHARE 東北芸術工科大学 広報担当 TEL:023-627-2246(内線 2246) E-mail:public@aga.tuad.ac.jp RECOMMEND 2023.03.13|インタビュー 地域の人たちが楽しく活動を継続していくために、伴走者としてできること/立川市子ども未来センター?卒業生 漢人さち #コミュニティデザイン#卒業生 2021.04.11|インタビュー 絵は子どもたちの成長を支えるコミュニケーションツール/小学校教諭?卒業生 小見七望 #卒業生#教職課程#日本画 2024.04.01|インタビュー 陶芸の練込技法が可能にした、絵画を器にするという新たなものの捉え方/陶芸作家?卒業生 後藤有美 #卒業生#工芸工芸デザイン